写真・図版
優勝を決めて喜ぶ履正社の選手たち

 (13日、高校野球秋季大阪大会決勝 履正社8―3大阪桐蔭)

 スタンドに駆け出した履正社の選手たちが喜びを爆発させた。今夏コールド負けを喫した大阪桐蔭への雪辱を果たしたからだ。

 大阪桐蔭の先発は中野大虎(2年)。六回からは森陽樹(2年)が救援した。ともに春夏の甲子園を知る「ダブルエース」で、最速150キロ前後の直球が強みだ。

 だが、履正社は力負けしなかった。

 毎日のように昼休みの時間を使って相手投手の映像を見ることで、センター返しの意識を徹底した。結果、2人から4点ずつ取って計12安打8得点。多田晃監督は「ストレートに対して負けずにコンパクトに打ってくれた」と選手たちをたたえた。

 夏の大阪大会準決勝では、2―12で5回コールド負け。現主将の矢野塁(2年)は「試合が始まったら、すぐ終わってしまった」と振り返る。その後、新チームでは「打倒桐蔭」と言い続けた。あの日の敗戦を経験した辻琉沙(2年)と矢野が継投で相手打線をかわし、この大会5連覇中だったライバルの勢いをそいだ。

 前回の秋優勝は2018年。井上広大(現阪神)らを擁して19年夏の全国選手権大会を制した世代だ。

 当時の試合をテレビ観戦していたという辻は、「あの時は打力が本当に強かったし、ああいった試合はできないと思う。だけど、自分たちには足があるし、体が小さくてもコンパクトに打てる」。

 偉大な先輩たちとは違った強みを持つ履正社が、自信を深めた。(室田賢)

共有